君との世界
大切なひとを失うということは、
君とふたりぼっちだった「私達の世界」で、
急にひとりぼっちになってしまったような感覚だ。
喪失感で、私もこのまま倒れて消えてしまえたらいいのに、という気さえしちゃうけど。
大切なひとを失うと、そういう感覚になる。
つらい
私達で築いてきたこの世界が、形を失っていくのがこわい。苦しい。
その前に私もログアウトしてしまいたい。
でも、私にはまだ、
他にも、この世に愛する人たちがいて、
愛してくれる人たちがいるのだ。
それぞれの「君」と私の、
ふたりぼっちの世界。
つき民と、月丘つかさの世界。
とある誰かと私の世界。
なんかもあるから、
まだ消えるわけにはいかないかなって、思えるのだ。
仮に私が死んだら、
私の属する、全ての世界からログアウトすることになっちゃうから、
私を愛してくれる他の誰かを、できれば悲しませたくない、苦しませたくないなと思う。
まあでも、
自分が消えたらきっと確実に悲しませてしまう人がいるって確信できることは、
幸せなことだよね。
誰かと築く、それぞれの世界は、
平等ではなくて同じではなくて、
それぞれ共同作業でちょっとずつ一緒に描かれて、作られていく。
最初は白紙の紙から。
そしてまずは、
鉛筆だったりクレヨンだったり、
人によっては油性ペンだったり…
線や点が出来て、
画用紙の絵のように、段々と色がついて重なっていって、
どんどん解像度が上がっていって、
形作られていって、
色付いていって、
温度があって、きらめいていって、香りづいていって。
そういう感覚かなと、考えた。
各世界は、
構築者がひとりでもいなくなると、
世界が停止して、
時の流れで足跡が風化していくように、
水の流れに削られていくように、
ノートの線がこすれてボケて消えかかっていくように、
どんどんモザイクのように崩れて溶けて壊れていってしまうような気がする。
こわい。
人が亡くなると途端に皆 惜しむのは、
その人と自分との2人が属する世界の、
これから先の未来の描き込み、形成に対する可能性がついえてしまうからじゃないかな。
と思った。
お互い生きていたとしても、
時間が経つと、記憶も少しずつは薄れたりしていくけど、
でもまだ未来があれば、
さらに描き込みを増していくことができるから。
薄れたところがあっても、擦れて滲んだところがあっても、新たに描いていくことができる。
だからあんまりこわくないんだと思う。
でも、いなくなってしまったら、
その人との世界が、
これから更に描かれていく可能性がなくなるし、
既にある世界(思い出)も、
風で少しずつ崩れていくかもしれない一方だから、
人間は、人の死で惜しみ悔やむし、こわいんじゃないかな。
ここでいう誰かと誰かのふたりぼっちの「世界」は、
人間に死がある限り、
必ず全て、
世界の終わりを迎える。
終わりと言っても消滅とか崩壊とかってよりは、
「停止する」、という感覚かもしれない。
複数人で作っている世界、
例えば「つき民と月丘の世界」も、
1人かけたら世界に綻びが生まれる、
今はその綻びから、何かが崩れていってしまうのがこわい。
でもまだ残された構成員たちで、
綻びを繋ぎ止めて、
ぼやけた線の部分もまた新たに描いて繋いで、
これから先もしかしたら新しく出会える仲間も加わっていって、
今の人間関係からももしかしたら変わっていって、
形を変えていって、
「私たちの世界」のこの先がまだまだ描かれていって、
新しい扉を開いていくことができるはず。
「私たち」で作る世界は、この宇宙が無くなるとか地球がなくならない限り、
急には停止しないであろう。
きっと無いことだけど、
一瞬で宇宙ごと、すべて消し飛んで滅びないかなあ
悲しみも幸せも、だれかの最高の瞬間も、絶望の時も、何気ない1日も、
全部ひとまとめにして一斉にエンディングを迎えられたらいいのにねえ、
と思ってしまう。
そしたらこれ以上、だれも絶望に突き落とされる事がないのになあ。
幸せな人は幸せのまま物語の終わりを迎え、
不幸な人はこれ以上の不幸を逃れられる。
志半ばの人もいるであろうけど、この世界の全てが終わるならば、中途半端とか途中とかもはやそんな概念は無い
とはいえ世の中そうはいかず、
大体の人は志半ばなままに、中途半端なままに、
突然、だれかを残して何かを残して、無念に死んでいくことになるんだろうなあ
世知辛い
もしもいつか私自身がなにかの事情で活動を終えることがあれば、
月丘つかさと誰かとの世界は、
ゆるやかに停止していってしまうこともあるのかもしれないけれど
私はこの活動を、君との世界を、
長い目でライフワークとして続けて行きたいと思ってはいる。
だけれど、
人の世は、何が起こるかわからない。
生きるか死ぬかだけでは片付けられない。
生 老 病 死
その他の事案も、予測できない困難も襲い来るかもしれない。
……
世界の新たな構築が停まり、
終わりを迎えたとしても、
そしてその後、風や水の流れで少しずつ少しずつ削られていくとしても、
それでも
ちょっとやそっとじゃ揺るがないくらい、
君との世界、君たちとの世界を、
鮮やかに繊細に華やかにあたたかく彩っていきたいな。
これからも少しずつ、ともに色付けていきたい。
君との世界で、
また新しい自分が産声をあげて、生まれ変わって、成長していけたらいいな。
そしてたぶん、最期の時には、
自分が属してきた世界たちの歴史をひっくるめた
私の「人生」の、ダイジェストをみるのだろう。
愛おしく素敵な物語になりますように。
そして君にとっても、そうであったらいいな。
…追記…
時を停めてしまった世界の歴史は、
ページを開くと飛び出す絵本みたいにして、
物語を記録して製本して、カバーをかけて、
心の本棚に大切にしまっておきます。
タイムカプセルみたいに、コールドスリープみたいに、褪せずそのまま新鮮なままに、ずっとずっと取っておきたいな。
だから大切に大切に、しまっておきます。
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